奇跡のように美しい人
1章:女神 - 4 -
二日後。
アディール皇帝に呼ばれて、佳蓮はレインジールと共にファジアル・リュ・シアン城を訪れた。
用意された藍色の衣装は、微細な宝石が散りばめられ、夜空に瞬く星のようだ。頭髪は高く結い上げ、繊細なティアラを飾っている。
着飾った姿を見ても感動は微塵もなかったが、レインジールは違った。雷に打たれたかのように立ち尽くし、とてもお綺麗です、と絶世の美貌でのたまい佳蓮を白けさせた。
彼自身は、光沢のある灰色の梳毛 で仕立てた上下を颯爽と着こなし、英国紳士のように凛々しく、美しい姿をしていた。お綺麗です、だなんてよく平然といえたものだ。
絢爛豪華な謁見の間――
宝冠を戴く壮年のアディール皇帝陛下と、ふくよかで優しげな皇后陛下が座していた。
世にも高貴な二人は、佳蓮を見るなり、玉座を立って一段高いところから下りてきた。
眼を丸くしている佳蓮の手を取り、皇帝はそっと甲に口づけた。
「なんと美しいのか……麗しの女神よ。貴方の放つ光芒は、海里を越えて、各大陸までも照らすことでしょう」
皇帝は皺の刻まれた目元を和ませて、佳蓮に笑みかけた。
「残念ですな。私があと二十若ければ、貴方に愛を囁けたものを」
何をおっしゃっているの、と隣で皇后がたしなめている。覇気に溢れる皇帝は、なかなかお茶目な人柄のようだ。
「ようこそいらっしゃいました。客星 をアディールにお迎えすることができて、大変喜ばしく感じております」
たおやかな皇后は優しく笑みかけた。想像していた美女とは違うが、国母に相応しい典雅で華やかな雰囲気の女性だ。
自然と頬が熱くなるのを感じながら、佳蓮はできる限り上品に微笑んだ。
「右も左も判らぬ世界で、とても良くして頂いております。暖かく迎えてくださって、本当にありがとうございます」
なるべく丁寧にお辞儀をすると、部屋に集まった全ての人から、好ましい者を見るような暖かな眼差しを向けられた。気のせいでなければいいのだが、歓迎されているように感じる。
皇帝の隣に立つ皇太子と、その隣の第二皇子も、ほんのりと頬を上気させて佳蓮を見つめている。
これまでレインジールを筆頭に、どちらかと言えば洋風の端正な顔立ちばかり見てきたが、皇子様達は意外と素朴な顔をしている。
二人共、藍色の髪に金瞳という、衣装に負けない豪華な色を纏っているが、顔立ちは……佳蓮が評するのもおこがましいが、平凡だ。
よく見れば整っているが、はっとする美貌ではない。外見だけを見れば、レインジールの方がよほど皇子らしいだろう。
しかし、洋風の顔立ちばかり見てきせいか、平凡で地味な顔は、かえって新鮮に感じられた。
「第一皇子のシリウス・B ・アディールです」
妙に熱い視線に居心地を悪くしながら、佳蓮は膝を折った。
「羽澄と申します。よろしくお願いいたします」
そっと手をとられて、恭しく甲に唇が落とされる。平凡と評しておきながら、映画のワンシーンのような状況に佳蓮の胸は高鳴った。
「アズラピス・D ・アディールです。近衛騎士団の団長を務めております」
続けて、第二皇子に手を取られた。二人共、皇后陛下に面差しが似ている。どうしてそんなに熱っぽく見るのだろう?
「さぁ、皆も女神の姿を一目見ようと心待ちにしています。どうか微笑をお与えください」
皇帝に促されて、佳蓮は赤い絨緞の敷かれた廊下を渡った。
謁見の間を出ると、急に人が増えた。廊下の左右に衛兵がずらりと並び、王室御一行を微動だにせず見守っている。
そこら中から視線を感じて、佳蓮は落ち着かなかったが、レインジールも王室もまるで気にしていない。
彼等は、緊張する佳蓮を気遣い、道すがら左右から交互に言葉をかけた。
「ぜひ夜会にもいらしてください。招待状を送ってもよろしいでしょうか?」
シリウスに紳士的に申し込まれて、佳蓮は軽い気持ちで頷いた。
「楽しそうですね。ぜひ私も呼んでください」
人好きのする笑みで、アズラピスが笑う。
「おや、社交嫌いが珍しい」
「女神がいらっしゃるなら、話は別ですよ」
兄弟仲の良さを窺えるやりとりに、佳蓮は表情を和らげた。
束の間、緊張を忘れていられたが、廊下の先を見た途端に、鼓動が撥ねた。
高台へ続く扉が、左右に立つ衛兵の手で開かれる。
わっと流れ込んでくる熱気。割れるような歓声。あの扉の向こうに、夥 しい数の人が集まっている――
その後のことは、よく覚えていない。
緊張のあまり、廊下で倒れてしまったらしい。
数日経って眼を醒ますと、泣きそうな顔のレインジールが傍にいた。
つい先日も、数日間に渡って昏倒したばかりだ。
蘇った後遺症……といっては妙だが、何らかの意識障害をきたしているのかもしれない。
おかげで、いまいちこの世界を現実と認識できない。日に何度も、何もかも夢なんじゃないかと疑ってしまう。
二度に渡って倒れたせいで、レインジールはすっかり心配性になり、佳蓮をベッドからなかなか下ろそうとしなかった。
その間に、様々なことを聞いた。
佳蓮が滞在している塔――通称、時計塔はアディール帝国の聖教区に建てられた最古の塔の一つらしい。
星詠機関の基地でもある塔は、東西南北の四つと中央の時計塔、全部で五つあり、それぞれを上級星詠師が管理しているという。
時計塔は、星詠における歴代の最高権威――星詠長管の管轄で、現在はレインジールが管理しているらしい。
他の四つの塔にも、上位継承権を有する星詠師が住んでいるという。
星詠師は、名の通りに天空に瞬く星々から、様々な超常を得る聖人のことで、人々から畏怖されると共に尊敬を集めている。
塔では、貴重な星詠道具、奇跡を起こす聖遺物、闇の魔導書 など様々な神秘を保管しており、管理する神秘の性質はそれぞれの塔によって異なるという。
例えば、レインジールの管理している神秘は、最も危険な超常の力――闇精霊や幻獣の力――を借りる召喚の類らしい。
悪用すれば、国を滅ぼすこともできるという。だから、決して外に漏れぬよう、塔で厳重に管理されているのだ。
レインジールの話を総括する。
星詠機関は、膨大且 つ貴重な知識を管理する機関と思われがちだが、基は霊気を集める為に、初代皇帝が創立した機関らしい。
なぜ霊気を集めるかといえば、浸食の海に大地が沈まぬよう、数千キロメートルにも及ぶ広大な大陸を、海面から浮かす為である。
驚くなかれ。
帝国を含む大陸一帯、まるごと宙に浮いていたのだ。
佳蓮の堕天で、宙に浮いていた人工大地は海底に根を下ろし、真に大地として生まれ変わったという。
このあたりの話は、何遍聞いても理解できない。
とにかく、佳蓮が屋上から飛び降りたら、宇宙規模のバタフライ・エフェクトが起きて、アディールに素晴らしい作用をもたらしたらしい。
大陸を浮かす為、そして生活基盤を支える重要な資源――霊気が、間もなく枯渇することを星詠機関は何年も前から予測していたという。
錬金術は進み、人工霊気が次世代燃料としてもてはやされてはいるが、実用にはまだ至っていない。
極秘とされているが、数年前に流行した疫病の正体は、人工霊気の錬金術から生じる産業害毒だったと、レインジールは哀しそうに零していた。
「錬金術は全盛期を迎えて、今がまさに黄金時代と世間では思われていますが、とんでもない間違いです」
錬金術による汚染で家族を失ったレインジールは、富をもたらす錬金術を憎んですらいた。星詠師として、刻一刻と迫る終焉に絶望を感じていたともいう。
帝国の現状を語った少年は、昏い未来に光を差しこんだのが佳蓮だと続けた。
「羽澄様の堕天に伴い、天からこの先数百年を賄う霊気が満ちました。今もなお、泉のように沸き出でています」
佳蓮を世界の救世主――天の遣わした客星だと、レインジールが少しも疑わずにいい切るのは、今も懇々と大気に満ちる霊気のおかげらしい。
が、佳蓮には全く身に覚えがない。
何度も否定したが、レインジールは聞く耳を持たない。この話に関して、二人の意見は平行線の一途である。
とはいえ、ここにいる限り生活に困ることはない。
レインジールは十歳という若さで、帝国の重要機関の権威に就いており、莫大な富と爵位を有する屈指の資産家でもあった。頭脳明晰、温厚廉直、品行方正、佳蓮を女神と崇めて一途に慕い、おまけに天が創り給う美貌の持ち主である。
塔にいれば、上げ膳据え膳で、身の周りの世話は、召使が全てやってくれる。好きな食べ物も、飲み物も、嗜好品の類も、レインジールに頼めば、いつだってすぐに届けられた。
社交を嫌って部屋に閉じこもっていても、文句一ついわれない。
学校にいく必要もなければ、働く必要もない。
テレビや携帯、インターネットはないが、代わりに胸をときめかせる魔法がある。
佳蓮より七つも年下の少年が毎日働いているというのに、佳蓮は勉強もせずに、部屋で寛いでいる。
家事手伝いを申し出たこともあるが、健やかにお過ごしくださいと天使の微笑で断られたのだ。よく食べて、寝て、遊び、充実した日々を送りながら、聖杯を満たすことが大切らしい。
佳蓮の存在を物質 界に定着させる為に、聖杯を満たす必要があるらしいが、超常的で精神的な話になり、その方法はよく判っていない。
なんとなく、心が健康でないと駄目な気はする。だとすれば、欠陥だらけの佳蓮が、聖杯を満たすのは至難の業かもしれない……
アディール皇帝に呼ばれて、佳蓮はレインジールと共にファジアル・リュ・シアン城を訪れた。
用意された藍色の衣装は、微細な宝石が散りばめられ、夜空に瞬く星のようだ。頭髪は高く結い上げ、繊細なティアラを飾っている。
着飾った姿を見ても感動は微塵もなかったが、レインジールは違った。雷に打たれたかのように立ち尽くし、とてもお綺麗です、と絶世の美貌でのたまい佳蓮を白けさせた。
彼自身は、光沢のある灰色の
絢爛豪華な謁見の間――
宝冠を戴く壮年のアディール皇帝陛下と、ふくよかで優しげな皇后陛下が座していた。
世にも高貴な二人は、佳蓮を見るなり、玉座を立って一段高いところから下りてきた。
眼を丸くしている佳蓮の手を取り、皇帝はそっと甲に口づけた。
「なんと美しいのか……麗しの女神よ。貴方の放つ光芒は、海里を越えて、各大陸までも照らすことでしょう」
皇帝は皺の刻まれた目元を和ませて、佳蓮に笑みかけた。
「残念ですな。私があと二十若ければ、貴方に愛を囁けたものを」
何をおっしゃっているの、と隣で皇后がたしなめている。覇気に溢れる皇帝は、なかなかお茶目な人柄のようだ。
「ようこそいらっしゃいました。
たおやかな皇后は優しく笑みかけた。想像していた美女とは違うが、国母に相応しい典雅で華やかな雰囲気の女性だ。
自然と頬が熱くなるのを感じながら、佳蓮はできる限り上品に微笑んだ。
「右も左も判らぬ世界で、とても良くして頂いております。暖かく迎えてくださって、本当にありがとうございます」
なるべく丁寧にお辞儀をすると、部屋に集まった全ての人から、好ましい者を見るような暖かな眼差しを向けられた。気のせいでなければいいのだが、歓迎されているように感じる。
皇帝の隣に立つ皇太子と、その隣の第二皇子も、ほんのりと頬を上気させて佳蓮を見つめている。
これまでレインジールを筆頭に、どちらかと言えば洋風の端正な顔立ちばかり見てきたが、皇子様達は意外と素朴な顔をしている。
二人共、藍色の髪に金瞳という、衣装に負けない豪華な色を纏っているが、顔立ちは……佳蓮が評するのもおこがましいが、平凡だ。
よく見れば整っているが、はっとする美貌ではない。外見だけを見れば、レインジールの方がよほど皇子らしいだろう。
しかし、洋風の顔立ちばかり見てきせいか、平凡で地味な顔は、かえって新鮮に感じられた。
「第一皇子のシリウス・
妙に熱い視線に居心地を悪くしながら、佳蓮は膝を折った。
「羽澄と申します。よろしくお願いいたします」
そっと手をとられて、恭しく甲に唇が落とされる。平凡と評しておきながら、映画のワンシーンのような状況に佳蓮の胸は高鳴った。
「アズラピス・
続けて、第二皇子に手を取られた。二人共、皇后陛下に面差しが似ている。どうしてそんなに熱っぽく見るのだろう?
「さぁ、皆も女神の姿を一目見ようと心待ちにしています。どうか微笑をお与えください」
皇帝に促されて、佳蓮は赤い絨緞の敷かれた廊下を渡った。
謁見の間を出ると、急に人が増えた。廊下の左右に衛兵がずらりと並び、王室御一行を微動だにせず見守っている。
そこら中から視線を感じて、佳蓮は落ち着かなかったが、レインジールも王室もまるで気にしていない。
彼等は、緊張する佳蓮を気遣い、道すがら左右から交互に言葉をかけた。
「ぜひ夜会にもいらしてください。招待状を送ってもよろしいでしょうか?」
シリウスに紳士的に申し込まれて、佳蓮は軽い気持ちで頷いた。
「楽しそうですね。ぜひ私も呼んでください」
人好きのする笑みで、アズラピスが笑う。
「おや、社交嫌いが珍しい」
「女神がいらっしゃるなら、話は別ですよ」
兄弟仲の良さを窺えるやりとりに、佳蓮は表情を和らげた。
束の間、緊張を忘れていられたが、廊下の先を見た途端に、鼓動が撥ねた。
高台へ続く扉が、左右に立つ衛兵の手で開かれる。
わっと流れ込んでくる熱気。割れるような歓声。あの扉の向こうに、
その後のことは、よく覚えていない。
緊張のあまり、廊下で倒れてしまったらしい。
数日経って眼を醒ますと、泣きそうな顔のレインジールが傍にいた。
つい先日も、数日間に渡って昏倒したばかりだ。
蘇った後遺症……といっては妙だが、何らかの意識障害をきたしているのかもしれない。
おかげで、いまいちこの世界を現実と認識できない。日に何度も、何もかも夢なんじゃないかと疑ってしまう。
二度に渡って倒れたせいで、レインジールはすっかり心配性になり、佳蓮をベッドからなかなか下ろそうとしなかった。
その間に、様々なことを聞いた。
佳蓮が滞在している塔――通称、時計塔はアディール帝国の聖教区に建てられた最古の塔の一つらしい。
星詠機関の基地でもある塔は、東西南北の四つと中央の時計塔、全部で五つあり、それぞれを上級星詠師が管理しているという。
時計塔は、星詠における歴代の最高権威――星詠長管の管轄で、現在はレインジールが管理しているらしい。
他の四つの塔にも、上位継承権を有する星詠師が住んでいるという。
星詠師は、名の通りに天空に瞬く星々から、様々な超常を得る聖人のことで、人々から畏怖されると共に尊敬を集めている。
塔では、貴重な星詠道具、奇跡を起こす聖遺物、闇の
例えば、レインジールの管理している神秘は、最も危険な超常の力――闇精霊や幻獣の力――を借りる召喚の類らしい。
悪用すれば、国を滅ぼすこともできるという。だから、決して外に漏れぬよう、塔で厳重に管理されているのだ。
レインジールの話を総括する。
星詠機関は、膨大
なぜ霊気を集めるかといえば、浸食の海に大地が沈まぬよう、数千キロメートルにも及ぶ広大な大陸を、海面から浮かす為である。
驚くなかれ。
帝国を含む大陸一帯、まるごと宙に浮いていたのだ。
佳蓮の堕天で、宙に浮いていた人工大地は海底に根を下ろし、真に大地として生まれ変わったという。
このあたりの話は、何遍聞いても理解できない。
とにかく、佳蓮が屋上から飛び降りたら、宇宙規模のバタフライ・エフェクトが起きて、アディールに素晴らしい作用をもたらしたらしい。
大陸を浮かす為、そして生活基盤を支える重要な資源――霊気が、間もなく枯渇することを星詠機関は何年も前から予測していたという。
錬金術は進み、人工霊気が次世代燃料としてもてはやされてはいるが、実用にはまだ至っていない。
極秘とされているが、数年前に流行した疫病の正体は、人工霊気の錬金術から生じる産業害毒だったと、レインジールは哀しそうに零していた。
「錬金術は全盛期を迎えて、今がまさに黄金時代と世間では思われていますが、とんでもない間違いです」
錬金術による汚染で家族を失ったレインジールは、富をもたらす錬金術を憎んですらいた。星詠師として、刻一刻と迫る終焉に絶望を感じていたともいう。
帝国の現状を語った少年は、昏い未来に光を差しこんだのが佳蓮だと続けた。
「羽澄様の堕天に伴い、天からこの先数百年を賄う霊気が満ちました。今もなお、泉のように沸き出でています」
佳蓮を世界の救世主――天の遣わした客星だと、レインジールが少しも疑わずにいい切るのは、今も懇々と大気に満ちる霊気のおかげらしい。
が、佳蓮には全く身に覚えがない。
何度も否定したが、レインジールは聞く耳を持たない。この話に関して、二人の意見は平行線の一途である。
とはいえ、ここにいる限り生活に困ることはない。
レインジールは十歳という若さで、帝国の重要機関の権威に就いており、莫大な富と爵位を有する屈指の資産家でもあった。頭脳明晰、温厚廉直、品行方正、佳蓮を女神と崇めて一途に慕い、おまけに天が創り給う美貌の持ち主である。
塔にいれば、上げ膳据え膳で、身の周りの世話は、召使が全てやってくれる。好きな食べ物も、飲み物も、嗜好品の類も、レインジールに頼めば、いつだってすぐに届けられた。
社交を嫌って部屋に閉じこもっていても、文句一ついわれない。
学校にいく必要もなければ、働く必要もない。
テレビや携帯、インターネットはないが、代わりに胸をときめかせる魔法がある。
佳蓮より七つも年下の少年が毎日働いているというのに、佳蓮は勉強もせずに、部屋で寛いでいる。
家事手伝いを申し出たこともあるが、健やかにお過ごしくださいと天使の微笑で断られたのだ。よく食べて、寝て、遊び、充実した日々を送りながら、聖杯を満たすことが大切らしい。
佳蓮の存在を
なんとなく、心が健康でないと駄目な気はする。だとすれば、欠陥だらけの佳蓮が、聖杯を満たすのは至難の業かもしれない……